ガーデニングの世界がまた一つ広がりました
今日は山形県の特産品である山形打刃物から、野村屋製鋏所さんの「村久の剪定鋏」を1年ほど使ってきたので感想を残してみたいと思います。
昨年山口に帰ってきてから庭の木々の剪定をするようになり、ガーデニングの面白さに気づき始めた頃に
剪定鋏も1つ良いやつを持っておきたいなと思ったのでした。
当時いろいろと調べた中で、ふと目に止まったのが山形の打刃物です
【山形打刃物とは?】
山形打刃物の歴史は古く、およそ660年前の南北朝時代頃の山形をおさめていた最上家の初代当主、斯波兼頼が鍛治氏達を連れてきて鍛治集落を形成したことに始まるといわれる。
以来その技術は時代と共に成熟しながらも、現在でも1つ1つを手作りによって生み出す鍛造品の切れ味、美しさは海外のガーデナーをも魅了し熱視線が送られている。まさに実用を兼ねた伝統工芸品。
やっぱり趣味の道具は一流のものを使ってみたいなというのはいつも思っています。
山形の刃物いいなぁと思いいろいろと調べていたところ
「村久の剪定鋏」を見つけたのでした。
村久の剪定鋏を作られている「野村屋製鋏所」さんは終戦直後に昭和天皇の東北巡行の際にご訪問を受けているようで
箱にも確かに「昭和貮拾貮年八月拾六日」(昭和22年8月16日)の日付が書かれています。
昭和天皇はこの日、山形県の上山温泉「村尾旅館」(ニュー村尾浪漫館)へ
民間の宿への宿泊としては初めて宿泊されたのだとか。
調べてみると、村久の剪定鋏は現在出回っている数も非常に少ないとのことで
手に入るうちにぜひ使ってみたいと思って購入したのでした。
デザインも美しいので、届いた直後の写真も残していました
人の手で鍛造されたものでありながらもこれほど美しいものが作れるのかぁと驚いたことを覚えています
ズッシリとした重みはまさに「よく切れる刃物」といった印象。
注目の切れ味はというと、言葉では伝わりにくいですが
「サクッ」「スパッ」と切れる感じ
さすが山形の打刃物。
サクサク切れるその音も使っていて楽しいですね。
もちろんどんな太い枝でも切れるというわけではないので、あくまでも常識の範囲内での使用です。
・・・あれからおよそ1年。
庭木を切ったり、バラの剪定をしたりといろいろと使ってきました。
現在の様子はこんな感じ。
やはり素材が炭素鋼(はがね)であるということもありやや錆が出てきていますが、
普段の手入れをしてきたこともあるのでしょうけど
切れ味はまったく劣っていません。
風格が増して味が出てきたという感じ。
先日バラの剪定をしました。
スパッと切り口も美しく仕上がっていますね。
普段は使った後にヤニ取りで綺麗にしてから、椿油を塗って保管しています。
しかし、一度汚れを水で落とした後にそのまま1日放置してしまったことがあり、そのときは一晩で鋏が錆に覆われるという恐ろしい経験をしたのでした。
やはり日々の手入れはちゃんと行わないといけません。
しかし、この鋏をつかっていると、普段の道具もメンテナンスなど丁寧に扱うようになりました。
今はバラなんかを剪定するときに使っていますが、「良いものを使っているんだ」という
所有欲のようなものを感じるのも嬉しいですね。
大学の頃に、ある先生から「なにか1つでも一流のものに触れてみなさい」ということを教えていただきました。
なぜかその言葉がいまでも頭の中に残っていて、趣味の世界や自己投資を行うときにはその言葉を実行しています。
山形打刃物の世界はその言葉の意味を教えてくれるものでもありました
今日は普段使っている剪定鋏のお話でした。
いろいろと調べていると、日本には各地に素晴らしい技術をもった道具がまだまだたくさんあることに気が付きます。
古典文学と一緒で、長い時間を経てもなお今の時代に受け継がれているということには深い意味があるのだと思います。
山形県は学生の頃に立石寺を訪れて以来1度しか行ったことがありません。
山口からは遠い場所ですが、またいつか行ってみたいなぁと思っています。
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