大学受験のときの「戦法」が通用しない!?
半年で合格するために、「合格するための研究」を行なっていた話の続きです。
社会保険労務士試験、自分が合格した令和2年の第52回の合格率が6.4%でした。例年同じくらいの推移かなぁという印象ですが、「100人受けて90人以上が落ちる試験ってなんやねん」というのが当時の印象でした。ここで「とりあえずやるしかない!」と突っ走る前に、ふと考えてみてほしいことがあります。
試験科目は調べるとすぐに出てきますし、配点の内訳も公開されています。そして試験はマークシート式。なのに、
「なんでこんなに合格率が低いんだろう。」
ぶっちぎりのAさん。まんべんなくのBさん。
ネットで「社会保険労務士試験」と検索すると、社会保険労務士試験のオフィシャルサイトがあります。試験に関する事柄はその都度更新されていくので、誰もが確認するものだと思います。そこには試験の概要や申し込みについてなどの試験に関する情報が掲載されています。
もしかしたら、多くの人は試験科目と配点を確認してから、テキストに従って勉強を進める人もいるかもしれません。科目数の多い試験なので、自分も当初はとにかく前に進めることしか考えていませんでしたから。
しかし、一度よく確認してほしい項目があります。それが、
「合格基準」
という部分。今手元で確認してみると
合格基準点は、選択式試験及び択一式試験のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに定めます。各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格となります(合格基準点は、合格発表日に公表されます。)。
https://www.sharosi-siken.or.jp/about/outline/ 社会保険労務士試験オフィシャルサイト
とさらっと記載されています。注目すべきは、
「各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格」
という点です。
午前中の選択式試験の各科目、午後の択一式試験の各科目、それぞれの合格基準点に達しなければ、その時点で不合格?これを高校のときの試験に置きかえて簡単に考えると、
国語、英語、社会…の各科目でまず「空欄穴埋め」タイプの試験がある(選択式試験)
国語、英語、社会…の各科目で今度は「5つの文章の中から正しいor間違ってるのどれか選んでね」タイプの試験がある(択一式試験)
このときに、
「午前中の社会の穴埋めは合格基準点下回っちゃったけど、それ以外はすべて、午後の択一も含めて全科目満点だった」Aさんと
「総合得点は6割ちょっと。でもまんべんなく全科目合格基準点をとった」Bさん。
試験の総合得点ではAさんがぶっちぎりなんですが、社労士試験で合格するのはBさんの方ですよ。ということがさらっと書かれています。
自分は大学受験の時、よくやっていました。
「英語でとれない分、社会で挽回しよう。」
この戦法は使えませんよ。ということです。ひとことで言うと、
「苦手科目は作らないでくださいね。」そんなメッセージのように当時感じていました。たとえその年の他の科目が合格基準点を満たしていても、不合格であればまた来年全科目受験してねということになります。「社会保険労務士法の1条ってそういう意味もあったんだな」と合格後に気付きました。
では、「合格基準点を下回った時点で即全員不合格なのか?」というとそういうわけではありません。
「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」
と検索すると、最低点の補正についての考え方が書かれています。受験に際して補正ありきで挑むのはダメですが、
「みんなが解けない問題を正解しないといけないわけではない」
ということを理解した上で自信をもって勉強を進めていきました。とにかく
「走り始めたら立ち止まらずにまずはゴールまで走ってみよう」そんな意識が大切だと思います。一度本番のコースの景色を見ておくと、その後の練習のペース配分も分かりますからね。
合格率が低いのは問題が難しいから「ではない」
試験科目と基準点に対する考え方は理解できました。では実際の試験の時間はどうなのか。
社労士試験は1日で全ての試験が実施されています。
自分が受けた年は
午前中に選択式試験(10:30〜11:50)の80分
午後の択一式試験(13:20〜16:50)の210分
両方の試験を合わせると、およそ5時間となります。試験時間だけみていたら、「そうなんだ」で終わりですが、この5時間、受験してみると結構しんどい。特に午後の択一式は問題文も長文になりますから、集中力を切らさずに長時間集中できることが前提になってきます。1肢あたり30秒で
当時自分は京都市内に住んでいたので、受験会場も京都市の会場(同志社大学だったと思います)を選択しました。(ここは確認しておいた方がよいかも。試験会場が近くにない可能性もありますから)
学校のキャンパスが試験会場になっていることも多く、自分は同志社大学で受ける気満々で準備していました。試験時間もそうですが、同じく意識していたのが、「受験するときの環境」
古いキャンパスだと空調のことや机や椅子も普段のものと大きく違うものがくることも想定しておいた方が良いかもしれません。ふかふかの椅子で勉強していたら、本番はカチカチの椅子なんてことが起こる可能性もあります・・・。
結局、受験票が届き試験会場を見てみると、同志社大学のはずが
「京都国際会館」
新型コロナウイルスが猛威を震い始めた年でしたので、ソーシャルディスタンスを確保するためだったのかな、と思いました。
問題自体は基本的な部分をしっかりと対策していけば、十分合格できる試験だと思います。
課題は試験時間の集中力。ここは当日の気合いだけではどうにもならない部分です。なので普段の勉強から時間と試験環境を意識して取り組むことがその対策になると思います。
自分はストップウォッチをつねに手に持ってさまざまな場所で問題を解くようにしていました。
左右と前の人どこいった?
社労士試験の合格率が低いのは、試験の難しさというより「広い範囲」の「基準点」と「試験時間の長さ」への対策の要素が大きいと思っています。
実際に自分が受験した年、試験会場の机に座ってみると、
「左右と前の人がいない。」
試験の結果とともに公表された申込者数に対する実際の受験率をみると70%ほど。(新型コロナウイルスが猛威をふるっていましたが、その前の年が80%弱ほど)ということは、
「2割の人は何らかの理由で受験を諦めた」
ということになります。すべての人が間に合わないから諦めた人ではありませんが、試験当日に机に座ってみて、この数字の意味を実感することとなりました。
社労士試験の勉強を進めていく上で、今回の要素は頭の中に入れておいた方が良いと思っています。実際に自分はここを意識して勉強を進めていました。
次回は「過去問研究から実践した合格するために必要な知識レベル」を研究した話についてお話しさせていただこうかと思います。
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