資格がないと就活や転職は不利なのか?
僕は山口に帰る前は小売業でおよそ6年間、社労士事務所で社会保険労務士を2年間ほど経験してきました。
現在は社労士の資格を活かせる職場を探していたときに声をかけていただいた会社で仕事をしています。
最近は中途や新卒の採用人事の仕事にも少し関わるようになり、大学へ訪問する機会も出てきました。
今日は今までの中途採用や学生たちと話す中で聞かれたこと、特に
資格がないと不利なんですか?
という点を中心に最近思ったことを書き連ねてみたいと思います。
もちろん、資格がないと携わることのできない仕事もありますので、今回はそれ以外の部分についてのお話です。
今まで多くの人の履歴書などを目にしたり、社労士として経営者の方々と話をしてきた経験から感じたことをお話したいと思います。
まず大前提として
就活や転職活動の方法に絶対の正解はありません。
しかし、就活や転職活動で迷っている人へ、一つの例として参考になれば良いなと思います。
資格がないと不利なのか?
結論から言うと、僕は
「資格がないと不利ということはない」と感じています。
確かに資格があると有利に働くことは多いです。
僕は関西にいたときに「社会保険労務士」、先日「行政書士」の資格を取得しました。
関西と山口どちらでも転職活動を行なった経験があります。
どちらも社労士資格が活かせる分野【人事労務・総務・社労士事務所など】で転職先を探しました。
たしかに社労士資格で、転職活動の幅は大きく広がりました。
しかし、それ以上に感じたのはむしろ
転職活動においては経験を重要視する会社が意外と多い
ということ。
特に一般の企業では、「給与計算業務を2年以上経験した方」などのような条件がついていることが非常に多い印象でした。
当時の僕の場合は前職が小売業で、社労士分野の経験などまったくなかったので限られた範囲での転職活動でした。
現在多くの会社は人手不足と言われているので
「資格のある未経験者」よりは、「経験のある無資格者」の方が優遇されるのかなぁなんて感じたのでした。
逆に言えば経験のある有資格者であれば言うことはありません。
僕は経験を積みたかったので、結局未経験でも入れるようなところから探すことにしたのでした。
後になって知ったのは、特に地方においては
難易度の高い資格ほど有資格者を条件にすると急激に応募が減ったりします。
僕が前にいた事務所もそうでした。
未経験歓迎で募集をかけるとたくさんの応募があるのですが、社労士資格の条件をつけるとまったく応募がない・・・
なんてことが結構あったんです。
そのため「未経験歓迎」であったり「〇〇の経験を有する方」のような条件をつけたりしているところも多くあります。
もしも「有資格者で未経験」であったとしても、応募先の企業に聞いてみると意外と応募が可能だったりしますのでその点は諦めずに行動していただければと思います。
無資格で未経験の場合でも、今その資格の取得に向けて勉強を続けている点を具体的にアピールしてみたり、今までの経験で活かせる分野で入社したのちにキャリアアップでその職種を目指すという方法もあります。
例えば、総務部の中に人事労務や経理がある会社などでは、まず経理として入社した後に社労士資格を取得。その後資格を活かして部署異動や転職活動といった幅を広げることもできます。
いずれにせよ、常に挑戦を続ける姿勢が大切になってきますね。
未経験歓迎として求人を出す理由としては、
①離職率が高く常に人手不足
②経験や資格の条件をつけるとまったく応募がこない(特に地方)
③なるべく多くの人にあって良い人を探したい
という点が主に考えられると思います。
注意すべきは①です。
その会社の新卒定着率や離職率などのデータがあればわかりやすいですが、
常に同じ求人を募集している
企業は少し疑ってみても良いかもしれません。
売上が右肩上がりで増員募集という理由ならまだわかるのですが、常に欠員補充であることも考えられます。
【閑話休題】
僕が関西で転職活動をしていたとき、とある社労士事務所に面接にいったときのこと。求人票には未経験歓迎の条件があり、完全週休2日制、残業なしの契約も可能、将来の独立も支援すると表記されていました。しかし面接では「忙しいから土曜日は出てきてもらっている」「残業してもらわないと困る(皆は夜10時頃まで残ってくれている)」「独立されたら困る」など求人票とまったく異なる話を次々とされたのでした。これら条件が受けられるかと問われ、さすがに無理と伝えると「これ以上は話すのも時間の無駄ですね」などと言われたのでした。僕も「そうですね」と言ってそのまま帰宅しました。
今もたまにその事務所のホームページを覗いてみますが、やはり常に募集中。未経験で入れてあげるからこれくらいはやってくれないとね、という態度が面接中にも感じられました。特に士業であるため、「修業させてあげる」という要素が悪い意味で露呈していたのだと思います。それならば求人票を正しく掲載してくれと思うのですが、そうするともちろん人は集まらない。未経験歓迎の求人の悪い側面を実際に体験したのでした。
未経験歓迎の求人については、
なぜ未経験でも採用してくれるのだろう?
という疑問点を持つことも大切だと思います。
新卒の就活生などの場合だと、まずその職種の経験をしているなんてことはほとんどないと思います。
なので、
履歴書に資格や経験がなくても違和感がない
といった感じでしょうか。
新卒の面接で「資格ってこれだけ?」と聞かれることはまずないと思います。
そして意外と採用担当もそこまで深く履歴書を読み込んだりしていない。
採用業務は面接の日程の調整やその他の業務が非常に忙しいため、履歴書をじっくりと熟読する時間がない
というのが現状です。
だからこそ新卒はさまざまな会社を見て、今後のキャリアプランを考えることができる貴重な期間です。
資格がないからダメだと諦める段階ではありません。
逆に言えば、学生のうちに何かの資格取得を頑張るだけでも大きなプラスになることがあります。
僕も色々な新卒生の履歴書などを見ましたが、資格欄は多くの人が自動車免許のみです。
他の人がほとんど空白の場所に文字を入れることができる
というのは強みにもなると思います。
それがその会社で必要とされている能力であればあるほど「おや」と感じます。
あとは面接の中で自分が学生時代に頑張った経験と資格を組み合わせ、その会社の目指す方向性とベクトルが合っていると感じていただけると内定の可能性も広がるのではと感じています。
今まで面接の場面に立ち会っていたり、採用の判断をする場面を目にしたりしてきました。
さまざまな企業の経営者の方ともお話をしてきましたが
人を採用するとき会社側として最も避けたいのは
「ミスマッチが起きてしまうこと」
だと感じています。
日本の法制度上、「解雇」という言葉こそあれど、そのハードルは極めて高く設定されているのが現状です。
そのため、会社側は「この人はうちの会社に合うだろうか」という視点からも見ています。
企業側は迅速な書類選考や限られた数の面接という極めて短い時間の中で判断を迫られるので、非常に難しい部分です。
皆さんにとっては意外と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが
企業側が面接で聞けることには制限がある
部分があります。
厚生労働省が指針を出しているので一度ご覧ください。
逆に言うと、面接でこのような質問をしてくるような会社はまずいとわかります。
そう考えると
応募する側がしっかりと考えを整理して面接に臨む姿勢が大切ですし、
逆に言うとまったく何も考えずに面接に来ている人は見ているとなんとなくわかります。
書類選考や面接でもしも不採用となってしまったとしても、それはその会社が「入社してもうちには合わないだろう」と判断してくれた結果なので、落ち込むようなことではありません。
ミスマッチが起きてしまうと企業側にとっても、応募者側にとっても不幸な結果となってしまいますからね。
そのため
「これがしたい」という考えも大切ですが「これがしたくない」という考え方も大切だと感じています。
じゃあどんな人が面接を通りやすかったりするの?
と思う人も多いと思います。
ここでもやはり
「こんな人は採用される」「面接でこれが言えれば採用」という正解はありません。
しかし、これはちょっと良くないかな、という例があるのも事実です。
過去によく目にした例としては
・自分が何をしたいのかわからない
・今までの会社の環境が悪かったのでそれを変えたい
・本人がやりたいことと会社が求めていることが違う
という部分です。
具体例で見てみます。
若手の採用担当は非常に好印象を抱いていた新卒のお話。その子は受け答えもしっかりとしており、インターンシップにも参加していました。しかし、役員面接で「自分のやりたいことがまだよくわからない」ということを話してしまい、結果不採用。役員からすると、なんとなく惰性でで受けているようにしか見えないという厳しい判断でした。面接で話を聞いていると、何をしたいのかよくわからないと言うように聞こえてしまう方が少なからずいらっしゃいます。
社労士事務所に勤めていたときのお話。うちの事務所は年間休日125日以上で転勤もなし。未経験でも応募可能という条件で募集をかけていました。応募に来た人はみんな未経験の方でしたが、多くの方が話す内容に共通するある点がありました。それは「前職の職場環境が悪かったのでそれを変えたい」という点です。理由はわかるのですが、どの職場にもマイナスの点は必ずあります。不満があったのでやめたという理由を話されると、今後うちでも不満があればやめるだろうと考えられます。そのような話をされる方があまりにも多く、誰も採用に至りませんでした。
会社としては、新卒にしろ中途採用にしろ、人を採用するということは
その人に毎月数十万円単位のお金を投資するのと同じです。
自分が社長ならこの人に毎月数十万の投資をするだろうか?という視点で考えてみることも大切だと思います。
【閑話休題】
以前僕が関わっていたある会社では、ハラスメントなど常に労務トラブルが頻発していました。毎日のように相談の電話がかかってきていました。
でもその会社の採用ホームページを見てみるととても良いことばかりが書き連ねてあるんです。さらに先輩社員がその会社に入社を決めた理由を見てみると皆さんが「年間休日が多い」といった、いわゆる福利厚生の部分しか書かれていませんでした。完全にミスマッチが起きている例だと思います。
もちろん福利厚生は大切です。しかし、本来の会社の目的はそこではないはずです。その部分にだけ目を向けて入社してしまうと、自分の権利だけを主張する人が混じってしまい会社の目指すベクトルとずれてしまいます。会社としては福利厚生を充実させることで採用につなげたい思いもあるのでしょうが、結果として逆方向に向かってしまっている例だったと思います。
そう言う意味では僕はさまざまな会社の実際の社員の声をよく調べています。最近は社員の口コミを見ることのできるサイトも出てきました。その口コミは意外と参考になります。特にマイナスの評価がやたらと多い会社は注意した方がよいと感じています。会社の方針に従業員が完全についていけなくなってしまっているなどの弊害が出てきている可能性があるからです。
僕が大学時代にとっておきたかったなと思う資格
今までの話で、資格がなくても大きく不利になることはないというお話をしてきました。
しかし、やはり資格で選択肢の幅が広がることも事実です。
もしも今の僕が大学生の自分にアドバイスをするとしたらどんなことを伝えるだろうと考えたとき、これらはぜひ学んでおきたいと思ったのがこちらです。
①簿記3級+(2級)
②FP3級
③宅地建物取引士
おそらくこれらは世間一般で取っておきたい資格としてあげられているものだと思います。
簿記がわかれば貸借対照表や損益計算書がわかるようになりますし、
FPはお金に関する必要な知識や考え方を中心に学ぶことができます。
宅建は不動産や金融業界では非常に強力な資格ですが、民法など生活に必要な法律の考え方を学ぶことができます。
学生のうちにもしもこの3つを揃えることができれば、面接でも非常に説得力のある会話ができるのではないかと思います。
学業に支障をきたすことなく在学期間中に目指すことのできる難易度でもあるので、今大学生の方やこれから大学に入学される方は一度考えてみても良いと思います。
これらの資格は僕もまだ持っていないので、ぜひ今後しっかりと学んでおきたいと思っています。
今日は最近ふと思った就活や転職活動に関する資格のお話をしてきました。
これといった正解がないところが、多くの人が悩んでいる理由だと思います。
しかし
・資格はなくとも経験でカバーできる
・経験がなくとも受け入れてくれる会社は存在する
・さらに資格があればより選択肢が増える
ということは多くの場合で当てはまってくると思います。
資格がないからダメなんだと考えるのはもったいないということが伝われば嬉しいです。これからも、日々の仕事の中で感じたことを社労士や行政書士的な視点でお伝えしていきたいな思っています。
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