「やったつもりにならない」を常に心がける方法
今回は周りからよく相談を受ける、
「行政書士試験の勉強法」
について、
僕が行政書士に合格したときに実際にやっていた勉強法を中心に振り返ってみたいと思います。
僕の大学受験期にやみくもに勉強していた頃に意識できていれば・・・なんて思います。
・そもそも勉強方法自体がわからない
・頑張っているけど何度も不合格になってしまう
・忘れてしまうのが怖い
・過去問の使い方がよくわからない
・どんな参考書を使ったら良いのかわからない
といった方には、少しでも参考になるのではないかと思います。
行政書士試験は合格率10%前後の試験で難解なイメージですが、
勉強法の本質を間違えなければ必ず合格できる試験です。
これは社労士試験でも言えることです。
僕は社労士資格こそ有していましたが、行政書士試験は試験科目がまったく重なっていないので、
すべて一から学び始めた状態
でした。(大学も法学部ではありません)
でも、社労士試験のときに行なっていた勉強法を意識することで、行政書士試験も
およそ8ヶ月の学習期間で合格まで辿り着くことができました。
社労士試験は6ヶ月で突破できたので、今回改めてその効果を実感したのでした。
では
少し話が長くなりますが、今回は僕が実際に行なっていた勉強法を具体的にまとめたお話になります。
独学でも通信講座でも、勉強開始直後が1番モチベーションが高いですよね。
そんなときこそ、一度今後の勉強法を意識しておくことが大切だと思います。
ここで言う勉強法とは、脳科学的に効率的な勉強法のことです。
僕が読んだ本の中で、皆さんにも参考になるなと思ったのがこちら。
社労士試験が終わったあと、たまたまこの本を読んだときに
自分のやっていた勉強法は脳科学的に正しかったんだ
と実体験をもって実感したのでした。
ストーリー形式でサクサク読み進めることができる内容であり、「学校で教えてくれたらよかったのに・・・」と思う内容でした。効率的な勉強法をテーマに実際の勉強への活かし方など具体例を用いながら解説されているので、勉強法をまったく意識したことがない方などは目から鱗の情報が満載です。どんな勉強にも使えるヒントが各所に散らばっているので、受験生にもおすすめの本です。ぜひ一読して勉強の質を爆上げしていただきたいと思います。
勉強に行き詰まったときなども、さらっと読んでみてはいかがでしょうか。
時間がない方は本書の3時間目「最新&最強の記憶学習」の章だけでも一読してみてください。
僕も行政書士試験の勉強を始めるにあたってもう一度読み返し、今までの経験を踏まえて進めていきました。
本書でも指摘されていますが、勉強を進めるときに意識することは、いかに
ような勉強を意識できるか。
では以下で僕が実際に行なっていた方法などを具体的にお話していきます。
社労士にしても行政書士にしても、試験範囲がそれなりに広いです。
なので、基本的にまずは試験範囲を一通り勉強することから始まります。
独学であれ、通信講座であれ、まずは
とにかく前に進めてまずは試験範囲を一周させる
ということが大切です。例えば通信講座を受講されている方だと、
一度で覚えようと意気込むのではなく、まずは全範囲の講義を聞いてみる
ことを意識します。
行政書士試験の範囲をながめてみても、
・憲法
・行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法etc.)
・民法
・商法(商法、会社法)
・基礎法学
・情報通信・個人情報保護法
・行政書士の業務に関連する一般知識等
※令和6年度(2024年度)の試験から法改正により一部変更があります
とさまざまな科目が問われることになります。
そのため
1つの科目に時間をかけすぎると本番までに終わらないということが普通に起こります。
僕が社労士試験を受けたとき、コロナの影響もありましたが
前後左右の方が欠席
でした。
細かい部分はひとまず置いておいて
とにかくまずはサッと一周してから本格的に勉強開始
という気持ちで進めていました。
特に通信講座では一通り試験範囲に目を通すと、
どの科目を重点的に学習しなければならないのかというメリハリの部分がわかってくると思います。
僕も最初に試験範囲を眺めても、どこが重点的に問われる科目なのかというのは最初まったくわかりませんでした。
僕は講義時間が短く要点がコンパクトにまとまっているフォーサイトを受講していました。
受講した感想などは以前の記事でまとめていますので、気になる方はそちらもご覧ください。
いずれにせよ、まずは試験範囲を高速で一周まわすことは重要だと思います。
2週目以降から本格的に勉強開始です。
このときに意識するのが
インプット→すぐにアウトプット(問題演習)→テキストで再確認(インプット)
という流れです。
たまに目にするのが、ずっとテキスト(講義)のインプットに注力してアウトプットはそれからという人。
気持ちはわかるのですが、社労士試験や行政書士試験でこのやり方はあまりにも危険です。
・行政書士試験の合格ラインは180/300(点)、つまり6割が合格ラインである
・肝心な過去問などの問題演習にかける時間がその分減ってしまう
・試験範囲が広いため試験本番に間に合わなくなる
6割の正答率を確保するためには過去問の徹底的な演習を避けてとおることはできません。
これが勉強の一連の流れです。
次に、勉強した部分を忘れてしまうことをいかに乗り越えるかのお話をします。
勉強管理ノートを活用する
勉強を進めていくとよくあるのが
解けるようになったはずの問題が再び解けなくなる
ということです。
憲法を一生懸命勉強して、その次に民法、行政法と進めていくうちに、
民法の後半あたりに差し掛かると、解けるようになったはずの憲法の問題が解けないし記憶が消えている・・・
こんなことが常に起こります。
これは僕もよく悩まされました。
特に1ヶ月以上その部分を何もしていないとまったく思い出せなくなってしまいます。
なので僕はこんな感じの勉強管理ノートを作成して管理していました。
こんな感じのノートです。
【使い込んでいたのでボロボロになってしまいました】
ドイツの心理学者エビングハウスが1885年に最初に見出したと言われる「忘却曲線」を参考にしたノートです。
【忘却曲線】
記憶したことが時間の経過とともに、どのように忘れていってしまうのかを示した曲線。最初に急速に下降、時間が経つとともに徐々に低下していく。この忘れる速度に個人差はほとんどないと言われる。
勉強における脳の関係などをサラッと知っておきたいなと思って読んだこちらの本も参考にしました。
池谷先生の本は高校生の頃から何冊か読んでいました。
本書の中でも忘却曲線をいかに学習に活かすかのヒントがお話されています。
これらを踏まえて僕が最初に決めた復習ルールがこちらです。
【忘却曲線を行政書士試験までの残り時間を考えてアレンジ】
【試験まで1年以上あるパターン】
①学習した翌日に1回目
②その3日後に2回目
③その7日後に3回目
④その21日後に4回目
⑤その30日後に5回目
⑥その45日後に6回目
⑦その60日後に7回目
と7回に分けて復習を行います。
しかし、僕の場合は行政書士試験までの残り日数(およそ8ヶ月)を考えて、下段のようによりサイクル期間を短く設定していました。
【試験までおよそ半年程度のパターン】
①学習した翌日に1回目
②その翌日に2回目
③その3日後に3回目
④その10日後に4回目
⑤その15日後に5回目
⑥その23日後に6回目
⑦その30日後に7回目
こちらはかなりキツめのペースです。記憶するためにはある程度忘れてから行うことも重要なので、もし試験まで1年以上あったならば、上段のペースを2週まわすことを意識して進めていったと思います。
7回目を終えても、その時の理解度に応じてその30日後・・・と繰り返していきます。
なんとなくで復習していくと、結局いつやったのかなどの管理があいまいになってしまうので、
僕はこのようなノートを作成して日々記録を行なっていました。
【復習ノートの作成・活用法】
・5mm方眼ノートを用意(Campusノートは紙質も素晴らしいので僕は好きです)
・5マス分のところで縦線を入れ、左側に学習項目を記入(こうすると10回分まで記録できる)
・上の部分に「何日後に復習するのか」の日数を記入(+1日後+1日後+3日後+10日後・・・)
・勉強したら次に復習する予定日をそれぞれのマス目に記入
・その日付のものから順次復習を行う
・終わったら二重線で消す
一度作成してしまえば、あとは機械的に時間がきたものから復習を繰り返していきます。
このノートを活用すると
・記憶が完全に消えてしまう前に復習を繰り返すことができる(しかも忘却曲線に基づいて)
・次の復習の目安がわかるので意識しやすい
・消していくことで達成感が生まれる
・試験の頃にはノートがボロボロになるので気持ち的にもいける気がしてくる
といった相乗効果もありました。
僕にとっては勉強のときになくてはならないノートです。
もちろんですがこの日程通りに進まない場合も出てきます。
そのような場合でも、「ここの復習が遅れてしまっているな」など認識できるようになるので、
時間が空いたらその部分を優先的に復習するなど臨機応変に意識的に勉強することができるようになります。
無意識に得意な部分ばかり勉強したり、不得意な分野を避けたりという偏りもなくなるので本当におすすめですよ。
過去問を徹底的に利用する
行政書士試験においては過去問の利用は絶対条件です。
僕の場合、今振り返ると最終的に
講義(インプット)3:過去問(アウトプット)7
くらいの割合イメージで進めていました。
それくらい過去問は重要だと考えていました。(社労士試験のときもそうでした)
極論になりますが、僕は社労士試験も行政書士試験のときもいわゆる模試というものは受けていません。
時間がなかったのもありますが、
1番の理由は過去問でも非常に深く勉強できるからです。
僕が受講したフォーサイトには過去問講座がついていましたが、僕は利用していません。
僕が活用していたのがこちら。
先ほどの管理ノートを使いながら、この過去問集をとにかく時間が許す限り繰り返し解きました。
今回はこちらの過去問集(合格革命)を例にお話します。
最低でも7〜8周、科目によっては10周以上解きました。
【実際に使用していた過去問集】
では僕はどのように過去問集を活用していたのか、具体的にお話します。
【1週目】
1周目は当然ほとんどまったく解けません。なので問題を読んですぐに解答を読みます。このときは解いてもまったくわからないので答えを読んでから問題を読んでも良いと思います。
このとき行う作業は問われた部分をテキストと照らし合わせその部分に線を引くこと。まったくわからないながらも、なんとなくここが問われたんだなというのが視覚的にわかるようになる。複数回問われている部分は自分でそれがわかるように工夫する(線を二重にする+☆マークをつけるなど)
これを繰り返していくと、だんだん「ここは何度も問われている」「ここは全然問われていない」といったことが自分でわかるようになってきます。過去問を研究しているようで、少しづつ勉強が能動的になってくるのが実感できます。
フォーサイトでは重要度は普通程度とされている部分でも、場所によっては何度も線が重なってくるので、必然的に「ここは絶対に抑えておくべき論点だ」となってきます。
【2週目以降】
2週目以降は実際に問題を解いていきます。肢別過去問集なので、答えは○か×の一問一答です。このとき正解しようが不正解であろうが別にどちらでも良いです。大切なのは「その問題で問われている論点はなにか」を探し出すこと。僕は問われている論点を空いたスペースにメモ書きしていました。例えば、「表見代理が成立する要件はなにか」のように。過去問では○か×かのみの世界ですが、このように論点を自分で考えていくと、「表見代理の成立要件が問われているな」「そもそも表見代理とはなんだっけ」など過去問で問われた論点をベースに自分の頭で1から思い出す練習を積むことができます。そしてこの練習が記述の対策に大いに役に立つことになるんですよね。同じ問題を解くと答えを覚えてしまうという方でも、このような考え方で進めていくとどんどん自分のレベルが上がっていくのが実感できると思います。
【2周目以降+α】
過去問を解きながら、何度も問われる論点を探し出し、問題の下に自分で論点を考えてメモを取る。さらにここで意識するのが「頭の中の記憶を白紙の紙に書き出す」作業です。
先ほどの例で言うと、「表見代理」という論点が問われているとすると、その点について思い出せることを白紙の紙に短時間(1分〜3分程度)で殴り書きしていきます。丁寧ではなく殴り書きです。丁寧に書いているとまったく進みません・・・。
何も思い出せなくても良いです。何も思い出せないということがわかったのが収穫になります。特に行政書士は記述も60点分あるので、本番で何も思い出せなければかなり合否に影響を及ぼします。普段からとにかく短時間で書き出してみる。勉強においてこの作業は本当に苦痛ですが、僕は最も効果があると感じています。
これを何度も繰り返していくと、どんどん思い出すワードの数が増えたり別の論点とリンクしたり、勉強が能動的になっていくのが実感できます。
以上が僕が過去問演習で実際に行なっていたことです。
こうしなければならないというのではなく、
「講義を聞いてわかったつもりになるのを防ぐ」
という点がなにより大切だと思います。
結局、「ここは大切だよ」と講師に言われるのと、自分で過去問を解きながら研究していく中で発見することでは重みが違ってくるように感じられるんですよね。
社労士試験や行政書士試験のときも、受験申し込み人数と実際の受験者数に大きな差があります。
当日の体調などもあるとは思いますが、試験結果の概要を見てみても
申し込んでも多くの方が会場に来ない
という現実があります。
試験が近づいてくるにつれ、「試験範囲が間に合わなかったから、来年受けようかな」といった気持ちも湧いてくるのだと思います。
僕も試験直前期は、転職活動に実際の新しい職場での仕事始めと、試験が近づくにつれ
どんどん勉強時間が取れなくなってくるのが現状でした。
最終的に
・商法と会社法に関しては頻出の分野にのみ絞って学習
・一般常識は普段のニュースや公務員試験用の時事対策本に目を通したのみ
・記述対策などの問題はまったく解いたことがない
・模試に関しては一度も受けたことがない(はじめて通しで問題を解いたのは当日の試験のみ)
という状況でした。
でも結果として合格しています。
試験当日も時間を大幅に余らせて終えることができました。
多くの参考書が出回る現代において、使う教材を絞るということはなかなか勇気がいることかもしれません。
でも1冊の肢別過去問集だけでも非常に深く勉強できるのは今回お話しした通りです。
僕は会社の休憩時間など、少し空いた時間があれば、ずっと上記の勉強を行なっていました。
ほんの5分程度でも0から思い出す練習をするだけで本当に力になりました。
試験に間に合いそうにない、というときは一度冷静になって使用する教材を整理してみるのも良いかもしれません。
今回は、僕が社労士試験や行政書士試験の受験時代に意識していたことをお話しました。
非常に広範囲の受験範囲となると、ついわかったつもりになって進めてしまうのもわかります。
しかし、実際は本番の緊張感に加えて制限時間や普段とは異なる環境で合格点を出さなければなりません。
普段から論点を意識して書き出す練習をしていると、試験でも自然と頭に浮かんでくるようになります。
今回お話したことが少しでも参考になって、一人でも多くの人の合格に役立てたら嬉しいです。
僕もこれからも勉強は続けていきます。
このブログでは今回のような勉強や読んだ本などのお話もしていきますので、今後もぜひ宜しくお願いします。
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